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『化学薬品不使用』の畑造りをセールスポイントとする生産者は昨今珍しくなくなった。でもこのシャトー・ル・ピュイはなんと400年以上も前から化学薬品を一切使わずにワインを造り続けている。
ボルドーから北西へ約50キロ、シャトー・ル・ピュイはサンテ・ミリオンとポムロールから続く同じ丘陵のコート・ド・フランに位置している。所有する25ヘクタールの畑には、1935年から有機栽培をそして1990年からは陰暦カレンダーによる独自のビオディナミ農法を取り入れている。醸造所のすぐ横に広がる畑に一歩足を入れると、その畑は驚くほど柔らかく、まさに土が生きている事を実感出来る。
固い石灰質の岩盤の上を珪土を含む石灰粘土質のごく浅い表土が覆う。一見この様な土地では葡萄樹が地中深く根を張らないのではと思ってしまうが、平均樹齢55年の葡萄樹はこの固い岩盤になんと地中70メートル以上も根を伸ばすという。シャトー・ル・ピュイの土壌に住む多くの微生物は養分が多く含まれたこの土中に酸性の排泄物を出す。この排泄物が地中の石灰質の岩盤を溶かし、そこに深く葡萄が根を伸ばすのだという。この地中深く延びた根がこの土地のミネラル分を十分に吸い上げシャトー・ル・ピュイのワインに個性を与える。これによりシャトー・ル・ピュイのワインはまるでブルゴーニュワインと間違う程の清廉さと滋味深さを持っている。 |
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『私たちのワイン造りは家族の歴史だ。』と13代目の現当主ジャン・ピエール・アモロー氏。9代目当主は1868年の時点で既に酸化防止剤の使用に疑問を持ち始める。その後10代目当主はより滑らかでアロマティックな果汁を得る為に100%除梗を実施、11代目は発酵中に果帽を十分に浸漬する為に独自の方法を考案した。またワインに余計な樽の要素を残さない為、全ての樽3年から15年の古樽を使用。醸造過程において、補糖、人口酵母の添加、濾過・清澄は一切行わないという徹底した姿勢を貫いている。
ジャン・ピエール氏曰く、全ては『純粋にテロワールを表現する為』に一家のこだわりが代々受け継がれているのだ。 |
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1994年ヴィンテージからはジャン・ピエール氏が息子のパスカル氏と共にSO2無添加のキュヴェ「バルテルミ」と「マリー・セシル」を造っている。
「バルテルミ」は、最初に酸化防止剤の使用を自問した9代目の名にちなんでいる赤ワインだ。所有する区画の中でも「レ・ロック」と呼ばれる特別区画の葡萄を使用し発酵後は澱引きせずに200から250Lの古樽で24ヶ月の熟成。その間月の動きに合わせて週2回のバトナージュを行った後、瓶詰めされる。
「マリー・セシル」はセミヨン100%で、収穫後は古樽で発酵及び熟成を行い、「バルテルミ」と同じくSO2を一切使わずに仕上げている。
また、「エミリアン」に使われる酸化防止剤の量も極めて僅かである。発酵及び瓶詰め時にSO2は一切添加せず、樽熟成の際にボンド・アセプティック(BondeAsceptique、液体硫黄を入れ樽口に取り付ける栓)を使用し気化させた硫黄を樽内でごく微量ワインの表面に触れさせる方法をとっている。 |
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また、どのキュヴェも瓶詰は月の動きに注意し、満月から徐々に欠けていく間に行われる。さらにこの造り手で特筆すべき点は、その驚くべき長熟のポテンシャルである。瓶詰め時には最上級のコルクを使用し、手作業でロウ付けされるシャトー・ル・ピュイのワインは30年以上の長期熟成に耐えうるどころか、ゆっくりと月日を経る事でその真価を発揮する。実際にこのシャトーには1917年以降の多くのバックヴィンテージがストックされ、新ヴィンテージと共にリリースされている。
2009年ヴィンテージからは新しく取得した区画の葡萄を使用して「デュック・デ・ノーヴ」が初リリースされる。この区画の葡萄はいずれはシャトー・ル・ピュイに使用される予定だが、若木の為別キュヴェとして仕上げられている。 |
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| 『17世紀以来14人のヴィニョロンは無添加で純粋なワイン、正真正銘本物の他に類を見ないテロワールを表現したワインを造り続ける為に、皆、懸命に働いてきた。』14代目パスカル氏は語る。現在、ジャン・ピエール、パスカル両氏は、このシャトー・ル・ピュイの地を独立したAOCとしての認可を受けるべく動き始めている。もし、認可された場合には、ボルドー唯一のモノポールとなる。 |